父と暮せば | ナイト・オン・ザ・プラネット

父と暮せば

父と暮らせば 第二次世界大戦終戦から3年後の広島。図書館で働く美津江は、家の外で光る稲光におびえていた。そこへ押入の中から、彼女の父・竹造が声をかける。「座布団をかぶって、おとったんといっしょに押入に隠れれば大丈夫」だと。既に亡くなったはずの父は前週の金曜日、彼女の前に現れた。娘の恋を応援するために。しかし彼女はある理由から幸せになることを拒み続ける・・・

予備知識なしに見たのだが、結構良かった。
ほぼ、宮沢りえと原田芳雄の2人芝居で、たまに思い出すシーンで美津江が好意を寄せる青年役の浅野忠信がでてくるくらいで舞台みたいな演出だな、観客に対して多少、うったえかけるようなセリフ回しだな、と思ったらなるほど、元々は舞台劇だそう。なっとく。

戦争の傷跡を描く映画、広島ものということで、原爆体験を元に描かれる。
その直接的な怖さは、トラウマとなってあらわれ、その後に続く怖さは体の傷はもちろんのこと、二次災害的な心の傷を残している。
そこには、ハリウッド映画的な敵国・自国的な単純な善悪ではなく、根本的な生死に関すること-自分はなぜ生きているんだろう生きてしまっているんだろうと、ある意味原爆という事故に遭った被害者であるのに、自分の生きる価値まで疑うような精神的な罪悪感がもつようになる、そんな戦争の怖さが伝わってくる。

父の応援が娘を少しずつ罪の意識から解放していく、もちろん全て解放されるわけではないだろうけど。
ラストは一応、ハッピーエンドらしくなっているが、BGMは終始、静かなトーン。そして原爆ドームの映像。
普段、娯楽大作ばかり見ている人には特にお勧めしたいけど、見てくれるかなあ。


05.11.11 映画館

オリジナルサイト
http://www.pal-ep.com/father/