ブラザース | ナイト・オン・ザ・プラネット

ブラザース

ブラザーズ 主人公ミカエルは優秀な軍人にして、美人な妻と二人の娘を持つ良き父親。ある日、刑務所から彼の弟ヤニックが出所する。家族と上手くうち解けられず、また自分のからに閉じこもる彼は苛立つ。そんな中、ミカエルに特殊な任務が下され、戦地に赴くが、彼の乗ったヘリは撃ち落とされてしまう。残された家族は・・・

適地での捕虜生活で、そこでの残酷な出来事で、トラウマを抱えてしまう主人公。そのことで、取り戻した家族との平穏な日々でも落ち着くことのできない毎日を送ることになる。そして家族は崩壊していく。
一方、一時、彼が死んだことになっていたうちに、弟が心を開き、残された妻を支えていた。周囲に理解されていないと思う弟は周囲に壁を作り傷ついていたのだが、同じく傷ついた兄嫁と交流することによって立ち直っていたのだった。

戦争によって起こる二次災害というか、後遺症のような心の病をとらえたこの作品、戦地でのシーンも必要最低限で、追いつめられていく主人公を自然に描いている。
戻ってからの人間関係も、妙に愛憎劇があるわけで無く、あくまで自然に、夫婦関係、兄弟関係を通して、戦争のむなしさを描いている。

いかにしっかりした人間でも、狂気の中に置かれれば、正気を失っていく。逆にすさみきった人間でも、心を開けば立ち直れる。そして、同じような心理状態に置かれればどんな状況も理解できるということを教えてくれる。

有名どころはサラ役のコニー・ニールセン。「ディアボロス」や「ミッション・トゥ・マーズ」、「グラディエーター」、「ハンテッド」などで国際的に活躍しているだけあって存在感がある。その他のキャストも負けていないので、バランスがとれている。

ちょっと地味だけど、単館レベルで上映してもいけるのでは、という秀作じゃないかな。


05.07.18 国際Dシネマ映画祭2005

2004年/デンマーク/110分/HDCAM
監督:スサネ・ビア
出演:ウルリク・トムセン、コニー・ニールセン、ニコライ・リー・クォース