パッチギ | ナイト・オン・ザ・プラネット

パッチギ

パッチギ 1969年、京都。地元の高校生・康介は、ある日、親友の紀男と一緒に修学旅行で来ていた九州のワルと朝鮮人学校の生徒のケンカに巻き込まれる。2人はバスまで倒されてしまったことで、ニュースになってしまったこの出来事をテレビで見た担任教師に朝鮮高校に親善サッカーを申し込みに行くよう言われる。こわごわ出かけた康介だが、音楽室で
偶然見かけたフルートを吹く少女キョンジャに一目惚れ。番長のアンソンの妹であることも分かったのだが、それでも仲良くなりたい一心で彼女が吹いていた曲「イムジン河」を弾くためにギターを始める康介だった・・・

物語は主人公の康介が好きになった在日朝鮮人の少女キョンジャへの想いから行動することで進んでいく。しかし、ことは単純には進まず、テーマソングである「イムジン河」のように、康介の前には越えなければならない大きな河が流れているのだ。

時代背景は1960年代の終わりで、日韓国交正常化してあまり経っていない頃。在日朝鮮人と日本人の間の溝も今より深く、学生同士のいがみ合いはもちろん、普通の生活でもかなりの差別心が残っている。
「イムジン河」の弾き語りで、キョンジャの家族や仲間たちにいったん認められた康介だが、否応なしに、この壁にぶつかることになる。

このことは、映像やセリフの端々にも現れていて、たとえば、川の畔でフルートを練習しているキョンジャを見つけた康介がわざわざ服のまま川を渡り、ずぶぬれで告白したときに彼女は、「もしも結婚することになったら、朝鮮人になれる?」と問いかけるのだ。
流れる川とセリフの「河」が2人の間に流れているのである。
この後、さらに深刻なシーンも待っている。

こうした背景を下敷きにして、物語は進んでいくが、もちろん重いばかりではなく、ケンカのシーンや彼らの普段の生活の中での話も折り混せ、楽しませてくれる。
アンソンたち朝鮮高校のワルと対立する高校空手部のケンカのシーンは、ときには派手で面白く、勢いがある。
彼らの普段の会話や行動からは、当時の風俗がかいま見えて、実際その時代をよくは知らない自分でも楽しめる。オックスのライブとレオポンは見てみたい!
あとオダギリジョー演じる坂崎のカッコが・・・

井筒監督が普段ほえているだけのことはあるなと思うできばえ。まず物語のベースの部分をしっかり作って、その上に、それに係わるストーリーを重ねて作っている。動機も行動も必然だし、きれい事だけではなくどろどろした部分も描かれていて、終わりは希望的、意外とかわいいところもある。ただの不良学生の映画では無く、ただの恋愛映画ではなく、ただの社会派映画でもないのだな。

俳優も若手、ベテラン問わずみんなそれぞれの持ち味を出し切っている。

まだまだ書き足りないところたくさんあるので、興味のある人は見て確認してください。
このご時世、見ておいて損はない1本なので。
井筒監督から「パッチギ」喰らいました。


05.07.12 映画館

オリジナルサイト
http://www.pacchigi.com/