サマリア | ナイト・オン・ザ・プラネット

サマリア

サマリア 刑事である優しい父親と2人暮らしの女子高生ヨジンと親友のチェヨン。二人は海外旅行に行く夢のためにチェヨンが売春、ヨジンが見張り役をしていた。ヨジンはチェヨンが売春することを良くは思わず、心配するのだが、彼女はそんなに悪いものではないと、相手は悪い人では無いとも言い、いつも笑顔で答えるのだった。しかし、ある時、ヨジンが他のことに気をとられている隙に警察に踏み込まれ、チェヨンは窓から飛び降りて死んでしまう。罪の意識にさいなまれる彼女は、もう一人成り代わり、彼女が相手をしてきた男たちと売春行為を始める・・・

少女二人と、父親の行動を通して、悪循環していく現実を淡々と描いている。

いつも笑顔を絶やさないチェヨン。彼女は平気で、むしろ楽しむ様に売春行為を重ねていく。もちろん海外旅行に行くとという夢もあるのだが、何か達観しているよう。自分をインドの聖女にたとえ、行為そのものを肯定している。そして、運命であるかのように死んでいく。息絶えるまで笑顔で。

チェヨンの死により、売春に否定的だったヨジンもまた、罪を償うのか、彼女を弔うのか、自らを罰するように売春を始める。チェヨンと同じ相手たちに、いつも笑顔で。そこには喪失感もあり、チェヨンの気持ちを理解したいという想いもあり、また単純に自分がしている行為への嫌悪感もある。しかし、そんな彼女の行動を父親も知ることとなり・・・

全体的に暗いトーンで、いまどきにありがちな現実を直視して、問題定義をしているよう。
まだ成長過程である彼女たちには自らの行動について、善悪の判断は薄く、流されやすい。その先がどうなるか深く考えず。母親のいない家庭であることも一因なのかな。あまり触れなかったが、父親の怒りというか、自分のふがいなさにどうにもできない彼の行動もまた悲しい。

ラストの見方はどうなのだろう?残酷なのだが、子離れというか、親離れというか、とにかく自立に向かっていくようだった。ヨジンの成長を描いてるとも言えるのかな。それにしては、最後まで、まだまだ幼さを残した表情をしていたように思う。
ちょっと負の方向に強烈でどんよりしてしまった。ヨジンのその後はどうなるんだろう?


05.07.12 映画館

オリジナルサイト
http://www.samaria.jp/