シルヴィア | ナイト・オン・ザ・プラネット

シルヴィア

シルヴィア ケンブリッジ大学へ留学中のアメリカ人女性、・シルヴィア・プラス。自身も詩人を志す、才能あふれる彼女は、たまたま目にした詩に感動する。その作者、テッド・ヒューズに出会うと二人は意気投合、付き合い始める。彼の才能に惚れ込む彼女は作品を出版社やコンクールに送り続け、ついに彼は受賞、成功の道を歩み始める。
ほどなく結婚した二人は、シルヴィアの故郷、アメリカへ渡り生活を始める。しかし、家事や仕事に追われ創作活動まで手が回らないいシルヴィア。テッドに書いていないことを問われ苛立つ彼女と彼女自身と才能に惹かれていた彼の間に溝が広がっていく・・・

死後、ピュリッツァー賞に輝いた女流詩人シルヴィア・プラスの物語。
美しい容姿とその才能で周囲の羨望を集めていた彼女は、同じく詩人のテッド・ヒューズと出会うことでその幸福な人生は最高のときを迎えるが、次第に影を落としていくことになる。

典型的な自己破滅型の人生を送る彼女はかなしい。幸せを求めるめれば求めるほど、疑心暗鬼に陥り、一つ一つ幸せを失っていく。その負の力が彼女のドロドロした詩の魅力になる。
彼女の作品の言葉「どの実を手にすればいいのか迷うばかりで結局は餓死してしまう自分が見えた」そのままの人生。

幼い頃に父親を無くしている彼女は、どこかで父親の愛に飢えているようで、その喪失感もその若い才能を支えていたのだろう。しかし、その才能が、才能あるもの同士であることが、せっかく手に入れた幸せな家庭、一軒家で子供に囲まれて家事をつくり・・・、というごく当たり前の生活に向かないのだ。
そして、彼女は、テッドへの愛情が疑いに変わったとき、繊細さもあり、嫉妬にかられ、自ら崩れ、彼との関係も冷めていく。
皮肉なことに、どん底に陥って初めて、最高の作品を手にする。

主演のグウィネス・パルトロウは好演しているが同じ成功している女性として、彼女になりきっても、感化されては欲しくないものだ。まあ、そんなことは無いだろうけど。これでまた、演技の幅が広がったのかな。

シルヴィアのようにレベルの高い才能は、作品をとことん突き詰めていく。それが負の方向にいく性格を持つひとは、それ以外はすべて失うか、また自ら失う方向に向かうしかないのかな?
確かに成功して、多くの人に感動を与えているのだろうが、あまりにも悲しい気がする。


すべてを手にはできず、しかも選択肢はどちらも究極。究極の才能は諸刃の剣・・・


05.06.10 映画館

オリジナルサイト
http://www.sylvia-movie.com/sylvia.html